上がっていいと言ったものの、いざ招き入れると、自分の家の狭さを痛感する。
ワンルームだから隠しようがない私物たち。
かろうじて人が入れるくらいには掃除してあるけど、幻滅されたらどうしようとか、今さらながら頭を過る。

だけど私の考えなんて杞憂にすぎない。
そんなことよりも、胡桃さんは私を見つめて言う。

「名前、つばさって呼んでもいい?」

「は、はい。」

早速、“平野さん”から“つばさ”に昇格した。
男性に名前で呼ばれるなんて何年ぶりだろう。
無駄にドキドキしてしまう。

「つばさ。」

「はい。」

呼ばれて胡桃さんを見ると、急速に絡まる視線。

「好きだよ。」

「っっっ///」

絡まったまま紡ぎ出されるその言葉に、私は赤面して更にフリーズした。

心臓はバクバクいってるし、身が持たない気がする。