笑われるいわれはないんですがー。

不満げな気持ちが顔に出ていたのだろうか、そんな私に胡桃さんは優しく微笑みかける。

「ごめん、可愛くて。勘違いしてる。」

か、可愛いって。
この期に及んで何を言うわけ?

不覚にも頬が紅くなってしまった私は、思わず両手で頬を覆う。

ていうか、勘違い?
勘違いって?

頭の中がぐるぐるしながら目をぱちくりさせる私に、胡桃さんは申し訳なさそうに笑って言った。

「ウェイティング出てるから一度出ようか?」

見れば入口付近で何組か待っている人がいる。
そういえばここに来てから随分時間が経っていた。

時間を忘れるくらい楽しかったってことなんだけど。
今の私はそれどころではない。