けれど直ぐ様我に返る。

「えっと、お会計しますね。」

自分に言い訳をするように言いながら、いそいそとレジを打つ。
薬とお薬手帳をビニール袋に入れて手渡すと、私の手元をじっと見ていた胡桃さんが視線を上げて、私と目を合わす。

「ありがとうございます。」

かすれた声で、丁寧にお礼を言う胡桃さん。

その瞳に、一瞬、吸い込まれそうになった。

「…お大事になさってください。」

去り際の背中にそう挨拶をすると、胡桃さんは少しだけ振り返ってペコリと頭を下げて帰って行った。