戸惑っているとくすりと声もなく笑い、胡桃さんは言う。

「口開けて。」

言われるがまま口を開けると、お肉が優しく口の中に入ってきた。
これは所謂、”あーん”されたわけだ。

恥ずかしすぎて思わず頬を押さえる。
いや、素直に口を開けたのは私だけど。

思わずっていうか、流されたっていうか。

みるみる紅くなっているであろう私の頬。
ぼやっとした間接照明で隠せているだろうか。

そんな私を見て胡桃さんは楽しそうに問う。

「どう?」

口の中いっぱいに広がる芳ばしい香り。
ゆっくりと咀嚼すると、じゅわっと肉汁が溢れてきた。
しかも、想像以上に柔らかい。

恥ずかしさで押さえた頬は、美味しくて頬っぺたが落ちそうになるのを抑えるために役割が変わっていた。