「あ、風邪はもう大丈夫ですか?」

「もう平気。」

胡桃さんはガッツポーズのようなジェスチャーをしてみせた。
それに私は顔がほころぶ。

「今度からは早めに対処してくださいね。」

「病院好きじゃなくてさ、風邪なんてほっとけば治るだろうって思ってたんだけど、みごとにこじらせたよねー。」

照れたように笑う胡桃さんにつられて私も思わず笑ってしまう。
私が予想した風邪のこじらせた理由、大体当たっていたみたいだ。

「まあでも、今度からは早めに病院にかかるよ。薬局行けば君に会えるしね?」

ドキッ。とした。

あまりにも自然な会話の流れに、そのまま流しそうになったけど、でも気付いてしまった。
“君に会えるしね”って、そんな深い意味はないのかもしれないけど、私の鼓動を速くするには十分すぎる言葉だ。

落ち着け。
落ち着け、私。

本当は病気にならないのがいいんだけど、でも。

「お待ちしております。」

冗談っぽく言ってみたら、胡桃さんはニッコリと笑った。