どう考えたらいいんだろう。

 どう答えたらいいんだろう。

 そうだ。

 もし、わたしだったら……?


 青司くんのことを好きだけど、忘れたくて。その間にもし、別の人からアプローチされたら?

 って考えてみる。

 そうすると……桃花先生と一緒だった。


 わたしは……。

 わたしは黄太郎と、一週間だけでも付き合ってしまった。


 ずっと寂しくて。生きる気力がわかなくて。

 でもそんな中、自分のことを第一に想ってくれる人が現れて。
 嬉しくて、そしてその相手のことも別にもともと嫌いじゃなくて、だから、情に流されて……受け入れようとした。


 だったら、もしかしたら桃花先生も、森屋園芸さんに対して思ってた気持ちは嘘じゃなかったんじゃないかな。

 青司くんが言ったように。

 きっと森屋さんの事、それなりに好きだったと思う。

 その後は……もし生きつづけられていたら、関わり方によってはいろんな未来があったんじゃないかと思う。

 わたしは、終わってしまったけど。


 でも、そのことをそのまま青司くんに伝えることはできなかった。

 だって、わたしは黄太郎とのことを話せない。
 一瞬でも他の人に絆されたことを話すのは、なんか……恥ずかしかった。
 最後まで一途でいれなかった弱さを、さらけ出す勇気はまだない。


 青司くんも、「お母さんは一途でいた」と心のどこかでは信じていたいんじゃないだろうか。

 だから、あんなことをわざわざわたしに訊いてきたのかもしれない。


 黄太郎とのことも、いずれは誰かから聞いてしまうだろう。

 そう思うと、青司くんにどう思われるかと思ったら……とても怖くなった。
 一途じゃないって幻滅されるかな?


「なあ、真白はどう思う? 母さんは、本当はどう思ってたと思う?」

「……」


 青司くんがわたしに訊いてくる。

 とても答えづらい内容を。わたしは、何も言えなくて黙った。


「ねえ、真白……」

「……わかんない」

「え?」

「わかんないよ! そういう青司くんはどうなの? もし自分だったら、どうしてたの!?」


 わたしも混乱していた。何度も同じ質問をしてこられても、どうしていいかわからない。わたしはたまらなくなってそう叫んだ。

 青司くんは少し面食らったような顔をしている。