「次はオレンジジュース……だね。どれどれ」

 わたしは次のグラスを取った。

 太陽のようなオレンジ色。

 一口飲んでみると、果汁のみずみずしさが口の中いっぱいに広がった。

 冬は風邪を引かないようにビタミンCをたくさんとった方がいいと言われているので、これはこれで冬でも需要がある気がする。


「それは市販の。でも次のレモネードはちゃんと一から作ってるよ」


 というわけで、レモネードをいただく。

 透明な液体にスライスされたレモンが二、三枚入れられている。
 炭酸かと思いきや、これは普通の水で割ってあるらしかった。


「んー。爽やか~~~!」


 どこか切ない味がする。
 レモンの酸っぱさとわずかな苦みと、それからシロップの甘さが思わず胸をきゅんとさせる。

 これもビタミンCがたくさん取れそうな飲み物だった。


「それは……ほら、これ」


 そう言って、青司くんはスマホを横に置くと、掌くらいの大きさのガラス瓶を棚から取り出す。
 その中には輪切りのレモンが入ったシロップがあった。


「氷砂糖とレモンを交互に重ねてしばらく常温で置いておくと、こういったシロップができるんだ。これは昨日から仕込んでおいたものだよ」

「へえ。それだけでもおいしそうだね」

「そうなんだ。ちなみに少しだけはちみつを入れてある。このままこれを紅茶に入れたらレモンティーにもなるし、便利だよ」

「いいね。これはただの水で薄めてあるの?」

「そう。夏は炭酸混ぜてもいいけど、さっきのザクロジュースよりはこれははちみつとか入ってるから水だけで割っても美味しく飲めるんだ」

「へえ~」