「真白。俺、これをひととおり入力させてもらってるからさ、その間に真白はジュースを試してて」
「うん」
言われてわたしは目の前に並べられた、色とりどりのジュースたちを見つめた。
赤、オレンジ、黄色、緑。
どれもとっても鮮やかだ。
それぞれ小さめのグラスに入っている。
「左から、ザクロジュース、オレンジジュース、レモネード、メロンソーダとなってる。市販の物も使っているけど、それぞれさらに一工夫してるよ」
「そう。じゃあ、さっそくいただきまーす」
というわけで、まずはザクロジュースをいってみた。
口に含んでみると、すぐに強い酸味を感じる。
「ああっ! 酸っぱ~い。でも……あとからちゃんと甘さが来るね。不思議な甘酸っぱさだ……。しゅわしゅわしてるけど、これ炭酸が入ってるの?」
「あっ、気が付いた? それは無糖の炭酸水を入れてるんだ」
「無糖?」
「そう。甘い炭酸水でもいいんだけど、それだとザクロ本来の甘みとか味が消えちゃうかな、って。あと真白がさっき言ってた、ケーキとの相性も考えると多少酸味が残ってた方がいいかもね」
「あー、なるほど。そうだねー。でも炭酸が入ってるとなんとなく『夏』っぽいかな。まだ寒いし……これあったかいのにできない?」
たしかにこの飲み物は、どちらかというと夏とか暑い時期の方が好まれる気がした。
三月はまだ肌寒い。
今日も風が強くて、ここに来るまでに体がとても冷えてしまっていた。わたしは、あたたかな飲み物を所望する。
「ああ、できるよ。これ希釈タイプのやつだから」
「ホント? じゃあぜひ、お湯割りにして下さい」
「はい。ちょっと待って」
そう言うと、青司くんはザクロジュースの瓶を出して、適当な白いティーカップの中にそれを少量そそいだ。さらにそこに沸かしたお湯をたっぷりと入れる。
わたしは薄められて現れた、美しい赤色の液体にうっとりした。
「わー。綺麗な色!」
「グラスに入ってる時もかなり綺麗だったけど、この白いカップでもいい感じだね」
「うん。それにザクロの香り? それがふわ~って、漂ってる」
「これはホットとアイス、両方出せそうかな」
青司くんはそう言いながら、小さなメモ帳に何かを書き留めている。
わたしはそれを見ながら、ザクロティーのカップを手に取った。
ザクロティーの温もりがじんわりと掌に伝わってくる。わたしはそのまま一口飲んでみた。
「……うん。さっきより酸味がちょっと抜けたみたい。わたしはこっちの方が飲みやすいかな」
「そう? それは良かった。酸っぱいのが苦手な人には、はちみつとかシロップを入れるといいって瓶には書いてあるんだけどね。真白はどう、使う?」
「うん。使う」
そう答えると、青司くんはさっそく冷蔵庫からはちみつとシロップを取り出してくれた。
わたしはどちらにしようか悩んで、はちみつの入ったボトルを選ぶ。
少しだけ垂らして飲んでみると、さっきよりも格段に飲みやすくなった。
「うん。入れたらもっと良い感じ!」
「そう」
「お店でも、こういうのミルクピッチャーみたいなのに入れて出したほうがいいかもね。やっぱりこれも単品で飲む人がいるだろうし」
「そうだね。うん、そうしよう」
青司くんがわたしの意見を取り入れてくれる。
こんな何気ないやりとりが、とても嬉しい。
「うん」
言われてわたしは目の前に並べられた、色とりどりのジュースたちを見つめた。
赤、オレンジ、黄色、緑。
どれもとっても鮮やかだ。
それぞれ小さめのグラスに入っている。
「左から、ザクロジュース、オレンジジュース、レモネード、メロンソーダとなってる。市販の物も使っているけど、それぞれさらに一工夫してるよ」
「そう。じゃあ、さっそくいただきまーす」
というわけで、まずはザクロジュースをいってみた。
口に含んでみると、すぐに強い酸味を感じる。
「ああっ! 酸っぱ~い。でも……あとからちゃんと甘さが来るね。不思議な甘酸っぱさだ……。しゅわしゅわしてるけど、これ炭酸が入ってるの?」
「あっ、気が付いた? それは無糖の炭酸水を入れてるんだ」
「無糖?」
「そう。甘い炭酸水でもいいんだけど、それだとザクロ本来の甘みとか味が消えちゃうかな、って。あと真白がさっき言ってた、ケーキとの相性も考えると多少酸味が残ってた方がいいかもね」
「あー、なるほど。そうだねー。でも炭酸が入ってるとなんとなく『夏』っぽいかな。まだ寒いし……これあったかいのにできない?」
たしかにこの飲み物は、どちらかというと夏とか暑い時期の方が好まれる気がした。
三月はまだ肌寒い。
今日も風が強くて、ここに来るまでに体がとても冷えてしまっていた。わたしは、あたたかな飲み物を所望する。
「ああ、できるよ。これ希釈タイプのやつだから」
「ホント? じゃあぜひ、お湯割りにして下さい」
「はい。ちょっと待って」
そう言うと、青司くんはザクロジュースの瓶を出して、適当な白いティーカップの中にそれを少量そそいだ。さらにそこに沸かしたお湯をたっぷりと入れる。
わたしは薄められて現れた、美しい赤色の液体にうっとりした。
「わー。綺麗な色!」
「グラスに入ってる時もかなり綺麗だったけど、この白いカップでもいい感じだね」
「うん。それにザクロの香り? それがふわ~って、漂ってる」
「これはホットとアイス、両方出せそうかな」
青司くんはそう言いながら、小さなメモ帳に何かを書き留めている。
わたしはそれを見ながら、ザクロティーのカップを手に取った。
ザクロティーの温もりがじんわりと掌に伝わってくる。わたしはそのまま一口飲んでみた。
「……うん。さっきより酸味がちょっと抜けたみたい。わたしはこっちの方が飲みやすいかな」
「そう? それは良かった。酸っぱいのが苦手な人には、はちみつとかシロップを入れるといいって瓶には書いてあるんだけどね。真白はどう、使う?」
「うん。使う」
そう答えると、青司くんはさっそく冷蔵庫からはちみつとシロップを取り出してくれた。
わたしはどちらにしようか悩んで、はちみつの入ったボトルを選ぶ。
少しだけ垂らして飲んでみると、さっきよりも格段に飲みやすくなった。
「うん。入れたらもっと良い感じ!」
「そう」
「お店でも、こういうのミルクピッチャーみたいなのに入れて出したほうがいいかもね。やっぱりこれも単品で飲む人がいるだろうし」
「そうだね。うん、そうしよう」
青司くんがわたしの意見を取り入れてくれる。
こんな何気ないやりとりが、とても嬉しい。