それからわたしは、時間になったのでそのままアルバイト先に向かった。

 いつものように職場に着くと、ちょうど店長が休憩室にいた。
 わたしは思い切って話を切りだす。


「おはようございます、店長……。実は、折り入ってお願いが」


 仕事を辞めさせてほしいと告げると、店長に大きなため息をつかれた。


「ええ? 三月いっぱいで? それはちょっと、困るなあ……。四月になれば新しい学生バイトとか、子育てがひと段落した主婦が自然と入ってきてくれるはずなんだけど……その人たちが入るまで、もう少しいてもらえないかなあ?」

「友人の……お店を手伝うことになったんです。そのお店のオープンが四月で。今から準備もありますし、その……少し難しいかと」

「そうか。うーん。わかった。早めに募集をかけるけど、入らなかったらできるだけギリギリまでいて」

「わかりました。ありがとうございます」


 タウン誌などに求人の広告を出すのも、お金がかかる。
 店側に負担をかけてしまうのは心苦しかった。

 でも、本来ギリギリの人数でやっていなければこういうことにはならなかったはず。
 誰かが、急に怪我や病気で穴を開けてしまうことだってあるんだし。

 人件費が一番かかるので、そこをできるだけ削減したい気持ちもわかるけど、それはそれ。わたしの問題とは関係がなかった。

 とりあえず話は通せたので、あとは早く代わりの人が入ってくれるのを願うのみだった。