「ああ、そうだ。さっき清澄(きよすみ)で買ってきた今川焼きがあるんだけど、ひとつずつ、どうだい?」
「え、あ、ありがとうございます」
「……ありがとうございます」
青司くん、そしてわたしの順に、紙で包まれた今川焼きが手渡される。
それは町の老舗の和菓子屋さん「清澄」のものだった。
まだ焼き立てなのかほかほかとしている。
ふと、大貫のおばあさんを見ると「食べないの?」という圧を発していたので、わたしと青司くんは顔を見合わせた。
「い、いただきます」
「いただきます……」
「はいどうぞ。召し上がれ」
平べったい円筒型。そのキツネ色に焼き上がった生地の中には、あんこがぎっしり詰まっている。何度か食べたことがあるが、毎回美味しいと感じる。今回もきっと……と期待が高まったところでがぶりと一口。
「ん。ん~っ。ひさびさに食べたけど美味しい……」
表面は適度な固さがあるが、中はしっとりもっちり。
あんこはまた上品な甘さだ。甘すぎない。この適度なバランスが最高だった。
青司くんも同じ思いだったようで。
「やっぱり美味しいですね、これ……」
「青司くんはイギリスに長く行ってたんだろう? だったらこの店の菓子を、また食べたいんじゃないかと思ってねえ。あんたのお母さんもよく買ってたし。あとで差し入れに行くつもりだったんだけどね……今会えて良かったよ」
「本当にありがとうございます」
「これからどっかへ行くのかい? なら……もし帰ってきたら、ちょっとお伺いしたいんだけど、いいかねえ?」
「え?」
「あんたのお母さんにお線香をあげたいんだ」
「……」
青司くんはそう言われて、急に言葉を詰まらせた。
それを見た大貫のおばあさんは申し訳なさそうな顔をする。
「え、あ、ありがとうございます」
「……ありがとうございます」
青司くん、そしてわたしの順に、紙で包まれた今川焼きが手渡される。
それは町の老舗の和菓子屋さん「清澄」のものだった。
まだ焼き立てなのかほかほかとしている。
ふと、大貫のおばあさんを見ると「食べないの?」という圧を発していたので、わたしと青司くんは顔を見合わせた。
「い、いただきます」
「いただきます……」
「はいどうぞ。召し上がれ」
平べったい円筒型。そのキツネ色に焼き上がった生地の中には、あんこがぎっしり詰まっている。何度か食べたことがあるが、毎回美味しいと感じる。今回もきっと……と期待が高まったところでがぶりと一口。
「ん。ん~っ。ひさびさに食べたけど美味しい……」
表面は適度な固さがあるが、中はしっとりもっちり。
あんこはまた上品な甘さだ。甘すぎない。この適度なバランスが最高だった。
青司くんも同じ思いだったようで。
「やっぱり美味しいですね、これ……」
「青司くんはイギリスに長く行ってたんだろう? だったらこの店の菓子を、また食べたいんじゃないかと思ってねえ。あんたのお母さんもよく買ってたし。あとで差し入れに行くつもりだったんだけどね……今会えて良かったよ」
「本当にありがとうございます」
「これからどっかへ行くのかい? なら……もし帰ってきたら、ちょっとお伺いしたいんだけど、いいかねえ?」
「え?」
「あんたのお母さんにお線香をあげたいんだ」
「……」
青司くんはそう言われて、急に言葉を詰まらせた。
それを見た大貫のおばあさんは申し訳なさそうな顔をする。