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翌朝。わたしはいつもより少し早く起きた。
普段はバイトが十一時からなので、九時くらいには起きるようにしているのだけど、この日の起床時間はなんと七時だった。
朝食を軽く済ませ、表に出る。
メイクはばっちり。マスカラもちゃんとつけた。服も昨日よりはおしゃれめなスカートにしている。
「ど、どうしよう、まだ行くのは早すぎる……かな?」
まごまごと川向こうの様子をうかがっていると、ちょうど青司くんが家から出てきた。
なんたる偶然。
青司くんはすぐにわたしに気付いて声をかけてきてくれた。
「真白? 早いね!」
「あ、お、おはよう! 青司くん」
「うん、おはよう」
「ちょっと、いつもより早く目が覚めちゃってさ~」
「わかるわかる。もう朝ご飯食べた?」
「うん。青司くんは?」
「食べた!」
「そっか……」
そこで会話がとぎれる。やば。なんかまたドキドキしてきちゃった。
でも、青司くんは変わらずこちらを見つづけている。
あれ? その前になんで青司くんは外に出てきたんだろ?
不思議に思っていると、また声がかけられた。
「あのさ、真白。ちょっとこの辺一緒に散歩しないか?」
「へっ?」
「近所。変わってるとこないか確認したいなって思って。昨日はバタバタしてたからさ、スーパーにしかいけなかったんだ。ね、どう?」
「え、えっと……」
「忙しいなら無理しなくていいけど」
「い、いや。む、無理じゃない、忙しくない! 今行く! 待ってて!」
わたしはすぐに家に引き返して上着を取ってきた。
ちらっと外の様子をうかがうだけって感じで出てきてたから、まだなにも防寒対策をしてなかったのだ。グレーのPコートをきっちり着込み、マフラーを巻くと、わたしは橋を渡って青司くんの元へと向かった。