もう一度鏡の中のわたしを見つめる。

 ねこっ毛の細い髪。それが耳のちょうど下あたりまで伸びている。色は昔から染めてないのにやや茶色みがかっている。

 目は化粧をすればわりと可愛い。でもマスカラをしないと、元のまつげは貧相だった。

 鼻もそれほど高くないし、唇も薄くって女優さんみたいに口紅が似合うようなぷっくりとした唇がうらやましい。



 まあ……ないものねだりは良くない。

 あるものを少しの工夫で良く見せられればいい。

 この顔を可愛く見せたい人なんて、青司くん以外にはあまりいなかったから今までそんな風にしか思ってこなかった。



 でも今日は……違った。青司くんは今日のわたしを見てどう思っただろう。

 素敵な男性になった青司くんと違って、わたしは……。

 幻滅されただろうか。

 昔のまま何も変わってないって。それとも、昔よりブスになったって思っただろうか。



 怖い。

 待ち望んでた人がまた戻ってきたのに。

 もう一度恋をしても、うまくいかないかもしれない……そう思ったら怖くなってきた。

 だって昔から、青司くんがわたしのことを好きなのかはよくわからなかったから。いつも自信がなかった。わたしばっかり大好きで。

 だから、今度も……。


「ううん……!」


 わたしは鏡の中のわたしに向かって首を振った。

 とりあえず、仕事仲間としては必要とされたのだ。そう。それだけは確かなことだ。だから、あまり悲観的になりすぎてはいけない。