青司くんの声にハッとなってカウンターへと戻る。
中では紅里が手際よく、どんどん食器を洗って拭いて、それから水やおしぼりの用意などをしていた。
「あたしだってね、就職するまでは東京の喫茶店で働いてたことあるんだからねっ」
紅里がそう言ってドヤ顔をしてみせると、青司くんがどんな女子も瞬殺させるような笑顔で言った。
「やるねぇ、紅里」
「せ、青司くん!?」
「青司くん、それはお願いだから真白だけにやって。あたしには刺激が強すぎる……!」
あああああ、と頭を抱える紅里に、首をかしげる青司くん。
わたしは笑って、出来上がったドリンクをお客様のところへ運んでいった。
そして、夕方――。
ようやく閉店して、残ったのは顔なじみだけとなった。
「今日は……本当にありがとうございました」
青司くんがみんなの前に行って、頭を下げる。
「今日のプレオープンが無事に成功したのも、みなさんが俺を受け入れてくれたおかげです。十年前にはいろいろありましたけど、またここで一からやり直すのを見守っていっていただけると嬉しいです」
そのあいさつに、方々から「頑張れよ」とか「頑張ってね」などの声がかかる。
わたしはそのタイミングで、そっとある人たちに連絡をした。
メールを送ると、ガチャリと玄関のドアが開く。
「……え?」
青司くんが振り返ると、そこにはわたしの両親と弟がいた。
「青司くん、おめでとう! これ、わたしたちから」
わたしは家族の元へ行くと、持ってきてもらった箱を受け取り、そう言って青司くんに渡した。
青司くんはそれをみんながいるテーブル席に持っていき、慎重に開ける。
すると、中からは大きなバースデイケーキが現れた。
白いクリームがたっぷりと塗りたくられたホールケーキの上には、たくさんのイチゴが乗せられており、さらに中央には『アトリエ喫茶・九露木 祝・プレオープン』とチョコペンでメッセージが描かれている。
「これ……」
「あんまり上手にできなかったけど……一応、わたしが作ったんだ。おめでとう、青司くん」
「真白……」
その瞬間、全員から拍手が贈られる。
青司くんは涙ぐみながら、ありがとうと言って笑った。
中では紅里が手際よく、どんどん食器を洗って拭いて、それから水やおしぼりの用意などをしていた。
「あたしだってね、就職するまでは東京の喫茶店で働いてたことあるんだからねっ」
紅里がそう言ってドヤ顔をしてみせると、青司くんがどんな女子も瞬殺させるような笑顔で言った。
「やるねぇ、紅里」
「せ、青司くん!?」
「青司くん、それはお願いだから真白だけにやって。あたしには刺激が強すぎる……!」
あああああ、と頭を抱える紅里に、首をかしげる青司くん。
わたしは笑って、出来上がったドリンクをお客様のところへ運んでいった。
そして、夕方――。
ようやく閉店して、残ったのは顔なじみだけとなった。
「今日は……本当にありがとうございました」
青司くんがみんなの前に行って、頭を下げる。
「今日のプレオープンが無事に成功したのも、みなさんが俺を受け入れてくれたおかげです。十年前にはいろいろありましたけど、またここで一からやり直すのを見守っていっていただけると嬉しいです」
そのあいさつに、方々から「頑張れよ」とか「頑張ってね」などの声がかかる。
わたしはそのタイミングで、そっとある人たちに連絡をした。
メールを送ると、ガチャリと玄関のドアが開く。
「……え?」
青司くんが振り返ると、そこにはわたしの両親と弟がいた。
「青司くん、おめでとう! これ、わたしたちから」
わたしは家族の元へ行くと、持ってきてもらった箱を受け取り、そう言って青司くんに渡した。
青司くんはそれをみんながいるテーブル席に持っていき、慎重に開ける。
すると、中からは大きなバースデイケーキが現れた。
白いクリームがたっぷりと塗りたくられたホールケーキの上には、たくさんのイチゴが乗せられており、さらに中央には『アトリエ喫茶・九露木 祝・プレオープン』とチョコペンでメッセージが描かれている。
「これ……」
「あんまり上手にできなかったけど……一応、わたしが作ったんだ。おめでとう、青司くん」
「真白……」
その瞬間、全員から拍手が贈られる。
青司くんは涙ぐみながら、ありがとうと言って笑った。