「ねえ、青司くん」
「な、なに?」
「今まで……いったいどこに行ってたの? どうして、急に連絡がつかなくなっちゃったの? ねえ、それって……ここに戻ってきたのって、結局自分のため? なんで? なんでわたしたちのこと……。ねえ、教えて。教えてよ、青司くん!」
「……それは」
責めるようなわたしの言葉に、動揺する青司くん。
わたしはさらに自分のスマホを取り出して見せた。
「ねえ、見てこれ。わたしずっと電話番号もメールアドレスも変えてなかったんだよ。なのに……どうして? どうして青司くんはわたしが送ったメールにずっと返事をくれなかったの? つながることも……できなくなって。ずっと送り返されつづけていて。わたし、青司くんが引っ越していってしまった日からずっと、ずっと……っ」
画面にはたくさんの送信履歴が並んでいた。
わたしはこれを見ると、いつも涙がこぼれてきてしまう。
何度も何度も、これを見て泣いてきた。その思いがまた一気に、こみあげてくる。
そんなわたしに、青司くんはひどく申し訳なさそうな顔を向けた。
「ごめん、真白。ごめん……」
「ごめん、なんて。そんな……そんな一言だけじゃ、納得できないよ! ねえ、なんで? なんでなの……ちゃんと話して? あの日、あの日から……わたしたちのことを嫌いになっちゃったの? ずっと友達だと……思ってたのに。青司くんは、わたしたちのこと忘れたくなっちゃったの?」
わたしは、彼に気持ちを伝えたことはなかったけれど、せめて友達同士ではあると信じていた。教室のみんなだって、きっとそうであったはずだ。
でも……引っ越しの日に見送ってから、一日も経たないうちに誰とも青司くんと連絡がつかなくなってしまった。その時の絶望感たるや。
行き先は、着いたら教えるって約束だった。
なのに、その約束はずっと果たされないままだった。
わたしは青司くんのことをこの十年間ずっと好きでいつづけてたけど、それと同じくらい、そのことを許せないでいた。
「ごめん……ほんとごめん、真白。許してもらえるかわからないけど……。話すよ、どうして真白たちに連絡ができなくなったのか」
「うん。ぜひ、教えて」
「俺……あの日、東京に着いたら、急に海外に行くことになってしまったんだ」
「え? 海外?」
わたしはぽかんとしてもう一度確認する。
「え? なんで? 海外って、東京のお父さんのところに行くって話だったじゃ……」
「そう。あの日……俺は父さんのいる東京に向かった。でも、向こうに着いたらすぐ……もう行くぞって飛行機のチケットを渡されて。それでそのまま……」
「ええーっ!?」
