「素敵。でも、お気に入りならご自分で持ってる方がいいんじゃないですか?」



おじいさんはゆっくり首を振った。


「お嬢さんに貰ってほしいんです」



優しい笑顔だけど、断らせないような圧を感じた。
せっかくのご厚意なので受けとることにした。



「ありがとうございます。大事に使いますね」



おじいさんは立ちあがり、


「そうしてもらえると嬉しいです。
それでは私はこれで。本当にありがとう。またお会いできたらいいですね。その時はぜひ本の話でもしましょう」



そう言って去っていった。