唐突だな。とゆかりは苦笑いを浮かべる。 「読書をしに来たんです。よくこの公園に来て本を読んでるんです。特に雨の日に読むのが好きで…」 「ほぉ。奇遇ですね。私も雨も読書も好きなんですよ」 「そうだ。助けて頂いたお礼といってはなんですが、これを受け取ってはもらえませんか?」 そう言って、おじいさんは私にある物を渡した。 「栞です。私のお気に入りの一品です」 木に桜の絵がかたどられた、とても美しい栞だ。