しばらく呆然としていると、 障子の前で男の人が声をかけてきた。 落ち着いた品のある声だった。 「おはようございます。お目覚めですか?」 「…はい」 誰だろう? 戸惑いながらも答える。 「開けてもよろしいですか?」 「どうぞ」 「失礼します」 その声の主こそ、雨宮倫太郎さんである。