心臓の音が伝わってしまいそうな稚尋との距離。



沈黙が続く中、ドキドキは余計に加速した。




「なっ……」



「なぁ、姫……あのさ……ここで俺と…………」


稚尋の言葉に、澪は固まってしまった。




「少し、話し合わない?」



突然だった。



「…………へ?」



その稚尋の言葉に、一番拍子抜けしたのは澪の方だった。




きょとんとする澪の瞳を見て、稚尋はまた可笑しそうに笑った。




恥ずかしい。


澪は自分の耳が真っ赤になるのがわかった。





恥ずかしい……!!





「何を期待してたのかは聞かないけど。……ちょっと俺に姫の本音を聞かせてよ」



「は?」




そして、稚尋の表情が真剣なものに変わった。



その強い瞳から、澪は視線を外すことが出来なかった。




「やっぱり、姫は俺が嫌い?」


「……嫌い」



それは強引が稚尋だから。

もっと優しくして欲しい。


俯く澪に、稚尋は更に質問を重ねた。