「なっ、何でいるのよ!」
「え~?たまたま通りがかったら姫が見えたから」
何、その言い訳。
稚尋の横では瑛梨奈も好奇心に満ちた顔をしている。
「ふーん、姫って呼ばれてんだー?」
瑛梨奈はそう言ってクスクス笑っていた。
しかし、その空気は一瞬、凍てつく空気に変わった。
「お、暎梨奈じゃん……」
稚尋が、瑛梨奈を見たからだ。
「ん―……久しぶりだね?」
「そうだな」
なんかだ、二人の世界を形成してしまっている。
どう言うことなの?コレは。
空気が……重い。
次の瞬間、稚尋が瑛梨奈の髪を撫でた。
澪の胸がチクリと傷む。