「……俺、姫が好きだよ?」
“好きだよ”
「…………っ……!」
それは澪が今までずっと待ち望んでいた言葉。
何度も告白する度に、半分諦めていた言葉。
一番好きな人に言われたかった言葉。
「今の稚尋に言われても……あんまり、嬉しくないな」
まだ、澪の気持ちは曖昧なまま。
「……俺、女遊びやめたんだ」
「え……?」
稚尋は急に澪の方を向いて言った。
距離が、近すぎる。
それは冬歌から聞いていたことだ。
しかし、本人に言われると、やはり驚き具合が違う。
「他の女とは、もうなんの関係もないよ」
どうして彼は、私のためにそこまでするのだろう。
ばか。私以上の大バカ。
「なんで?」
澪の質問に、稚尋は頭をかきながら答えた。
「だって、本命に好きだって言ってて、俺が影で他の女と遊んでたら……やっぱ信用性ねーじゃん」
稚尋の言葉に、澪はため息をつく。
「わかってないじゃん……全然」
「……え?」
「稚尋が急にそんなことしたら、そのとばっちりは私に来るんだけど……」
それくらい、わかってよ。
そう言おうとして、澪は慌てて言葉を飲み込んだ。
今日の私はやはりおかしい。普段なら、こんな台詞絶対に言わない。
澪は悲しい顔で稚尋を見つめた。