いくら待っても、稚尋のキスがやってくることはなかった。
いたたまれなくなり、瞳を開けると、そこには真剣な表情の稚尋がいた。
稚尋はほぼ毎日言ってくれる。
『俺の女になれって』
『可愛い……』
十分なはずだった。
──本気で守りたい、女の子が出来たんだってさ、──
あの言葉だけで、十分なはずだった。
──それってあんたの事でしょ?澪──
私は何を望んでいるの?
『絶対!俺のこと好きって言わせてみせるからな?』
そうだ。
稚尋はいつも私の気持ちを弄んできた。
今の私はもう、稚尋に夢中なのに。
だから、あなたの『好き』が欲しい。
冬歌先生が、これを本気の恋と言うのなら、稚尋の『好き』をもらったら……私はどうなるんだろう?
それが知りたい。
でも、今は無理みたい──………。
澪はゆっくり稚尋を見上げた。