しかし少年は澪の腕を掴み、自らへ引き寄せる。


男の力に女の澪が敵うはずがなかった。



「嫌っ……!」



抵抗など、大した意味を成さない。


突然両手の自由を奪われた澪の瞳には、大粒の涙が溢れてくる。


そんな澪の姿を見て、少年は口角をニヤリとつり上げた。



「その顔……すっげぇクる」



見たことのない、男の視線が澪を捕らえる。




「嫌だったら……!」



「……無駄だよ」



「……っ……!」



いくら抵抗しても、やはり敵わない。


飾りの抵抗は、男を欲情させるには充分だった。


澪の瞳から、一筋の涙が零れ落ちる。


本格的に泣き出した澪を前に、少年は目を見開いた。


本当に泣かれるとは思っていなかったのか、少年の余裕に満ちていた表情が一瞬崩れた。



「泣くなよ……まぁ、いいや。今日は名前覚えてもらえれば」



少年はそう言って、澪の両手を解放した。