その突然の言葉に、稚尋は目を見開いて驚いた。
そして、次の瞬間には耳まで真っ赤になった。
これには澪が驚いた。
曖昧な関係は嫌だった。
だからこそ、この手段を選んだ。
「え……?」
稚尋はよく状況が掴めていないようだった。
追いかけるのは得意だが、追いかけられることは得意でないらしい。
息がつまる。
自分の気持ちを確かめるために発した言葉だったが、言ってすぐ、澪は自分の言葉を後悔した。
それでも、ここで引き下がることは出来ない。
その方が、後でもっと後悔する。
「キスしてよ、今。私のことが好きなら、出来るでしょう?」
「……っ……」
自分は……何を言っているのだろうか。
稚尋は戸惑っていた。
その間に、澪は瞳を閉じる。
どうして、稚尋にキスをねだっているのだろう。
恋人でなければ友達でもない。
ついに、私は頭がおかしくなったのだろうか。