「稚尋、が……?」
澪は戸惑いが隠せない。
震える手のひらを押さえ、澪は熱く火照る頬を押さえる。
そんな澪に対し、冬歌は呆れたように言葉をかける。
「それが、あんたなんじゃないの。澪」
私が、稚尋の“本当に、手に入れたい女の子”なの?
自惚れたくない気持ちと、肯定してしまいたい気持ちが、澪の中でぐちゃぐちゃに混ざりあう。
私のどこに、そんなに惹かれるの?
たいして可愛くなんてないし、胸もないし……。
私は、ただ泣くことくらいしか能がない弱虫なんだ。
それなのに。
貴方に守ってもらうことしか、私には出来ないのに。
どうして貴方は、私をそんなにも好きでいてくれるの?
澪には、それがどうしてもわからなかった。