前に稚尋と一緒にいた女の子には、胸もおしりもちゃんとあった。
こんな私の体じゃ、女として稚尋に見られる訳がない。
それに比べて冬歌は見た目も中身も大人だ。
ふくよかな胸に、見事な脚線美。
それに比べて私は……撃沈。
大人の冬歌と比べる方が失礼なことだとは思うけれど。
冬歌は稚尋の義姉。
澪は未だその事実が信じられずにいた。
「稚尋って、そんなに女遊びが激しいんですか?」
澪の質問に、冬歌は首を傾げながら答えた。
「そうね……前は保健室でしょっちゅう……て感じだったけど。今は全然よ」
そう言って、冬歌は慰めるように澪の頭を撫でる。
澪は非常階段で稚尋を見てしまった。
あの時の稚尋はとても怖かった。
冗談が効かない、男の瞳。
そしてそれを楽しむかのような笑顔。
知らない稚尋の顔が、怖くて仕方なかった。
「……こんな話、聞いた?」
俯き、黙り込んでしまった澪を見て、冬歌はゆっくりと話始めた。