冬歌の言葉に、澪はただ驚くことしかできなかった。
冬歌が、稚尋の義姉。
それは全く予想していない答えだった。
「ん?どうしたの、そんなに口開けて。稚尋から聞いてないの?」
冬歌はそう言うと、不思議そうに首を傾げた。
澪はのんきな表情の冬歌にため息をつく。
知っている訳がない。
澪と稚尋は恋人同士でもなければ、友達でもない。
稚尋は自分自身のことなど一切語ろうとしない。
結局、稚尋のことを澪は何も知らなかった。
「冬歌先生が、稚尋の……お姉さん……?」
まだ整理がつかない頭で、澪はうわ言のように呟く。
必死に状況を飲み込もうと必死だった。
どうして今まで黙っていたのだろう。
あそこまで私のことを調べているのなら、私と冬歌先生の仲も知っているはずだ。
それなのに。
「……ま、義理のだけどね」
そう付けたしながら、ハハハと笑って見せる冬歌。
笑い事ではない。