「先生……私、おかしいのかな……」
本当は、全部分かっている。
稚尋はきっと、私が望まないかぎり、その先を求めない。
ただ、私が一人で空回りしてるだけだってことも、全部自分で分かっている。
だから、余計にもどかしかった。
泣きじゃくる澪に、冬歌の優しい言葉がふってくる。
「いいんじゃないの、おかしくても」
澪には、冬歌の言葉の意味がわからなかった。
「だって……私、もう違う人を好きになってる……しかも、素直になれないの……」
もう、どうしていいかわからない。
稚尋の本当の気持ちが知りたい。
それだけなのに。
気持ちを聞くのがこわい。
“遊びだったんだよ”
そんな風に言われたら、私は今度こそ立ち直れないだろう。
キィと小さな音と共に椅子に座った冬歌は、当たり前のように澪の質問に答えた。
「いいんじゃない?素直になれなくても」
「でもっ……!!」
「だって、それが本当の恋でしょう?」
冬歌は、笑っていた。
本当の……恋?
今まで私がしてきた恋は何?
ニセモノノコイ?