その途端、真っ白な天井が視界に広がる。


ギシリとベッドのスプリングが、ひっそりと静まり返った保健室に響いた。


保健室は静かで落ち着くから、好き。


人見知りの激しい澪にとって、この場所は心休まる数少ない場所だった。


なんだか、とても眠い。


必要以上に泣いて、泣き疲れたせいかもしれない。


そんな澪が瞳を閉じ、眠りにつこうとした、その瞬間だった。



ガタンッと聞こえた突然の物音。



その物音で、澪の眠気は一気に覚めてしまう。



「……!?」



飛び起きた澪の目の前に広がった光景。


その光景に、思わず腰が抜けてしまった。


「お前……もしかして朝宮 澪か?」



「……え?」



気がつくと、見知らぬ美少年が澪の顔を覗き込んでいた。


透き通るような栗色の瞳が、澪を捕らえる。


その視線に、すべてを見透かされているような気分になった。



何……この人?