真っ赤になる澪に、稚尋は笑顔で思いついたように言った。
「あ、お前……ツンデレ?」
それは即行で否定した。
「な、ない!!」
「はははっ……わり。また熱上がるな」
そう言うと、稚尋は申し訳なさそうに澪の髪を優しく撫でた。
その仕草にドキリと胸が鳴る。
「手……握ってやる?」
「い、いいよっ」
「どっちの“いいよ”?」
穏やかな声で、澪の体調を気遣っているのが伝わる。
その身に染みる稚尋の優しさが澪をまた、混乱させる。
「繋がなくていい……」
「あっそ」
素直に、楽しい空間だった。
「じゃ、俺。帰るな」
しばらくして、稚尋はふと思い立ったように立ち上がった。
「どーぞ」
「冷てぇなー」
“ありがとう”の一言が言えない。
こんなに面倒を見てもらったのに、私は最後まで意地っ張りだ。
「寝てろよ?」
「うん」
そう言って、稚尋はそのまま部屋を出た。