「わっ、わかったから!……お見舞いだけだよ!?」
「……物分かりがよろしいようで」
そこで澪はようやく事態を把握した。
下腹部に伸びる稚尋の手を澪は見逃さない。
「こら」
本当なら、すぐにでも追い出したい。
でも今は、本当にまずい。立っていられない。
稚尋と一緒にいるほうが、まずい気がするが、今は形振りかまっていられない。
今は、緊急事態だ。
「手、貸して」
「……うん」
澪は嫌々稚尋の手につかまりながら、自分の部屋へと戻った。
「……少し寝る」
「どーぞ」
一度はお見舞いを許したが、やっぱり危険な気がする。
いろんな意味で。
澪は火照る体と自分の置かれた状況に、大きなため息をついた。
稚尋は見境がない。
今日の澪は熱でかなり弱ってる。
今日こそ、本当に襲われかねない。