「……もう、私行くからっ!……もう……会わないから……!!」




そう言って、澪は稚尋の腕を振り払い、走った。



もう、稚尋には会わない。


稚尋と会うと、私はおかしくなる。



私はこんな風に男の子に接してもらったことがないから、だから……どうやって応えたらいいか分からないんだ。







「……素直じゃないねぇ」



走り去る澪の背を見つめ、稚尋は呆れたように笑った。



素直になれない。



とっくに稚尋に溺れていたのに。


私は自分で、認めたくなかったんだ──……。