「姫……顔、赤いよ?」
「なッ!?」
自分でも、頬が赤くなるのがわかる。
恥ずかしい。
「姫……」
不意に、稚尋の唇が澪の顔を過ぎて首筋に降りてくる。
ゾクリと、体に走る衝動。
稚尋は、澪の首筋に自分の唇を押し付けたのだ。
その行動に、思わず澪の体がビクリと震える。
「可愛い、姫……」
稚尋の言葉が、澪に突き刺さる。
顔が、赤くなる。
同時に分かったんだ。
分かってしまった。
私も、所詮は同じ存在だったってことに。
「……ちゃ、なんでしょ?……っ」
この行為は、稚尋が他の女の子にすることと、なんら変わりはない。
「……え?」
「私も、稚尋にとって……他の女の子と変わらないんでしょ……?」
涙が頬を伝った。