* * *


あれから三日、澪は稚尋と会うどころか、顔も見ていない。


洗ったハンカチを返したかっただけなのに。


ハンカチを返して、一言言いたかった。




“ありがとう”って。



……待ってるだけじゃ、ダメだってことくらい、私にだって分かる。




「よしっ!」



思い立った澪は、瑛梨奈の姿を捜した。









瑛梨奈はすぐに稚尋の居場所を教えてくれた。



『学校の裏口付近にいると思うけど……』


そう教えてくれた瑛梨奈の表情はどこか暗かった。


澪はその理由を聞いた。



すると。



『会うのは今じゃなく、後にしたら?今がいいっていうなら、止めないけど。あいつの本性、知っちゃうよ……?多分』





稚尋の本性?





『何?それ……』




『…………』



瑛梨奈は何も言わなかった。



その代わり、無言で首を横に振った。



澪に向かい、瑛梨奈は、最後にこう言った。



『自分に、自信を持ちなよ?』



それがどういう意味なのか、澪には分からなかった。