* * *



二時間目の終わり、澪は教室へと姿を現した。


すると、見慣れた姿が目に入る。



「澪ーっ!!」



「ちょっ……苦しい!」



教室にはいつものように飛び付いてくる彼女がいた。



「あ、ごめん」



彼女は、そう言って笑っていた。



「え~りぃ……?」



島田 瑛梨奈(シマダ・エリナ)



澪に抱きついてきた張本人である。



「親友に何すんのよ……」



咳き込みながら、澪は彼女を見つめる。


何をされても、結局は許してしまう仲だった。



「ごめん!だって今日はもう来ないと思ってたからさー」



「はいはい、それはごめんね?」



「うん」



面倒がかかる親友だけど、いつも澪と一緒にいてくれる大切な存在が、瑛梨奈だ。


瑛梨奈は嬉しそうに澪の腕にすがりつく。



「大丈夫!私、えりのこと大好きだから!」



「本当?えりも澪大好きだよっ!」



瑛梨奈は他人に甘えるのがうまい。



「えり……」



「ん?」



澪は瑛梨奈をとても信頼していた。


そんな瑛梨奈だからこそ、澪は今まで沢山のことを彼女に相談してきた。



「相談があるんだ……」



だから今回も、信頼してるよ?