「姫……」
「ごめん……気になって……」
澪は、申し訳なさそうにこちらを見つめていた。
その澪に歩み寄る、雛子。
稚尋はその光景を、ただ見つめていた。
「澪ちゃん…………」
雛子はフッと微笑むと、澪の耳元で小さく囁いた。
「いい、彼氏見つけたね…………?」
その言葉に、澪は頬を赤らめた。
「安心してよ……雛はもう、ちーに何にもないよ………」
その声は、とても穏やかだった。
「…………え?」
「澪ちゃんとは、友達だからさ」
その微笑みは、稚尋に向けられた。
…………何があったんだろう?澪にはよくわからなかった。
「ありがとな、雛」
雛子は稚尋にフッと笑いかけると、そのまま教室を後にした。