いつもだ。
稚尋は澪が赤くなるのを見て、喜ぶ。
でも、それも、稚尋の不器用な愛情表現なのだとしたら、だったら、まだ許せる。
特別だよ?
「そろそろ、戻らない?」
稚尋の手が、澪から離れた。
稚尋は不思議そうに稚尋を見つめる澪の額にキスを落とす
「大丈夫、ちゃんとけじめつけるから」
そう言って、笑った。
「あたし……雛とはちゃんとした友達じゃなかったのかな」
雛子とは会ってまだ間もないし、ただ利用されてただけなのかも知れない。
「澪」
突然稚尋に名前を呼ばれ、澪は肩を震わせた。
稚尋は既に自身のワイシャツを正し、長椅子から立ち上がっていた。
…………甘い香が鼻を掠めた。