こんな私に……稚尋を好きになる資格なんてあるの?
澪はそれすら、不安になっていた。
「何言ってんだよ……姫こそ、こんな俺と一緒にいるなんて、嫌になったんじゃないの?」
「……え?」
澪は俯いた顔を持ち上げると、そこにあったのは優しくもどこか切ない稚尋の笑顔。
栗色の長い前髪から覗くのは、澪を惑わす瞳。
眉を下げ、口元を吊り上げ笑顔を作る。
それは、稚尋の癖なのかも知れない。
「…………」
澪はただ、その笑顔に見とれていた。
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