─────体育祭当日─────


「あー来ちゃった、この日が来ちゃったよ」


澪は瑛梨奈の隣で頭を抱えていた。



最悪の日だ。



「しょうがないでしょ、来ちゃったんだから」


そう言って、瑛梨奈は笑って見せた。





「ちょっ……そう言う事言わないでよ」



澪は思わずため息をつく。


そんな澪の肩を、瑛梨奈はバシッと叩いた。



「ほらっ!稚尋リレーじゃん!!アンカーとかっ……速っ!」



「え!?」



言われるがまま、澪は視線をトラックにうつした。





その時、稚尋が澪の目の前を走り抜けた。



「速い……」



誰も寄せ付けないような、圧倒される走り。



結果は当然、ぶっちぎりで一位。



足、あんなに速かったんだ……。



本当に、私は稚尋のことを何も知らないんだな……。


そう考えると、悲しくなってしまった。