* * *



「…………どーしよ」



澪は正直、運動が苦手だ。



……嫌だなぁ。



澪の隣には、稚尋がいることが当たり前になっていた。


不思議だった。


別に、付き合っているつもりはない。



澪と稚尋の関係は、友達以上恋人未満、そんな関係だ。



「どうしたんだよ?そんな暗い顔して」


俯く澪の顔を、稚尋が覗き込む。



そんなこと、何度もされているし、それが稚尋の癖だってわかっているけど、相変わらずな稚尋の行動に慣れる訳でもなく、顔を真っ赤にさせてしまう。





「何、そんなに俯いて。こっち向けよ」



「……ちょっ!」


澪の顔は、意図も簡単に稚尋の前に差し出されてしまう。


澪の真っ赤な顔を見て、稚尋は嬉しそうに笑った。



澪は必死に顔を反らすが、そんな抵抗で稚尋が引き下がる訳もない。




「逃がさないよ?」



稚尋は意図も簡単に澪の体を引き寄せる。