「あー、ソレ?俺がやったやつ。まー……首輪的な?」
そう言って、ニヤリと笑う稚尋。
稚尋に助けを求めたのが間違いだった。
「私は犬じゃない!」
「あれぇ?そうなのー?俺の前ではやけに大人しくなるくせに」
「なっ……!」
「はいはい、そこでやめ!あんまり他の女子を挑発すんの、やめなよ……澪が可哀相」
「えーりぃ……」
ちょうどいいところで、瑛梨奈が助けてくれた。
「んだよ、えり」
ふてくされる稚尋は本当に子供みたいだ。
こんな稚尋の姿、久しぶりに見た気がする。
最近は、泣きそうな稚尋ばかりを見ていた気がするから。
でも、よかった。
他愛のない会話の中にも、澪は確かに幸せを感じていた。