澪の目の前に立った稚尋は、澪の頬にそっと触れる。
そして、言った。
「お前を、俺のものにしたくなったって……こと」
低く甘い声が、澪の背筋を駆け巡る。
私が、彼のもの?
「は……?」
だから、わざとコバミの前で“俺の女”なんて言ったの?
私を手に入れるのを見せつけるために?
「わかんない?俺の女になればいいってこと……」
稚尋はわざと澪の顔を覗き込むように見て、そっと顔を近づけた。
「どうする?」
心底楽しそうに、まるでゲームを楽しんでいる子供のような、無邪気な瞳だった。
そんな彼の栗色の髪が、澪の額を掠めていく。