「……ちー、会いに来たよ、私」 風が頬をくすぐる。 それと同時に、甘い匂いが鼻をかすめていった。 蜂蜜みたいな、甘い香り。 稚尋は、こういう系の匂いが好きなんだっけ? 昔から、いろんなものに蜂蜜塗ってたもんね。 ふと、匂いのした方を向いた。 そこには。 「うっわ……綺麗な子……」 長い黒髪を風に靡かせながら歩く、一人の女の子がいた。 でも、雛には敵わない。 「雛子が一番だもん」 そう小さく呟いて、雛子はニヤリと笑った。 ……待っててね、ちー。 ☆ちょっと待ってよ 【START】