* * * 「すごい……キレー」 「そうか?」 大きな水槽の前で二人並ぶ澪と稚尋。 その水槽の中では、気持ちよさそうにイルカが泳いでいた。 「ねぇ……稚尋」 ここが水族館だからかな。 海の底みたいだからかな。 すっごく、不思議な気持ち。 「……ごめんね」 素直な言葉が言えるんだ。 「何が?」 「“嫌い”だなんて言って」 「……え」 「私、稚尋が…………」 最後の言葉を言いかけて、稚尋が澪の腕を掴み、歩き出した。