“可愛いじゃん。"



お世辞なんでしょ、どうせ。



わかってるのに、頬が熱い。



歩きながら俯く澪に、稚尋が言った。



「隣町なら、誰にも会わないって」


稚尋はそう言って、笑った。



「……え?」



だから隣町にしたの?


私のために?



「……ありがとう」


恥ずかしくて、稚尋が触れている部分が熱くなる。



その後は、無言で稚尋の手に引かれていく他、澪には手段がなかった。




「さぁ、どこ行く?」



笑顔で澪を見つめる稚尋。


何か裏があるんじゃ、なんて、疑わずにはいられなかった。