* * *


保健室に入ろうとした藍田冬歌は、扉の前で足を止めた。



それは稚尋と澪の声が聞こえたからだ。



そして、冬歌は壁にもたれかかった。



稚尋を救ってくれる女の子。



朝宮澪。



稚尋があんなに他人を守ろうと必死になる姿なんて、初めて見た。



澪は、本当に凄い子だ。



「頑張ってね……澪」



澪に小さなエールを送ると、冬歌は保健室を後にした。


もちろん、鍵がかかっているのを確認して。



冬歌は関門突破のご褒美に、メンソールの煙草をポケットから取り出していた。




★思い出は君の味


【END】