仕方ないことなのだろうか。
私は彼にフラれたのだ。
その事実は変わらない。
変えられない。
考えた途端に涙が込み上げてくる。
そんな澪を見た稚尋は、眉を下げて笑った。
それは、困っているようにも見えた。
「コバミー、俺こいつ保健室に連れてくから、じゃあな」
「あ、うん……」
稚尋の牽制がこもった笑顔に、小林 大輔は力なく頷いた。
「っ……!」
澪は何の抵抗も出来ず、稚尋に腕を引かれていく。
「放してよ!」
「やだ」
「はぁ!?」
「泣き顔、見られちゃうよ」
「……!あんた……最低っ!こんなことして、何が楽しいの!?」
溢れ出した涙が止まらない。
そんな澪に、稚尋は言った。
「俺は、お前に興味があるんだ」
保健室の道のりで、彼が表情を崩すことはなかった。
「何よ……それ」
この人の考えていることが分からない。
優しいのか、意地悪なのか、はたまた性格が悪いだけなのか。
こんな生活がこれから続くと思うと……正直、気が重い。