「それは……あんたが朝宮のこと、最後まで嫌いになれなかったからでしょ」
「…………なっ」
「そうでしょ?えりちゃん?」
瑛梨奈はただ、俯くだけだった。
何が……どうなってるの?
「なっ……何言ってるんですか?先生」
「何って……事実でしょ。えりちゃん、朝宮のこと……本当に嫌ってたの?」
その言葉に、澪は驚いた。
そしてそれが、澪にとって唯一の救いのようにも思えた。
瑛梨奈は、ただ一言言った。
「大嫌いですよ……澪なんて」
瑛梨奈はギリッと、歯を食いしばっている。
冬歌は呆れたように瑛梨奈を見た。
「じゃあ、コレは?」
「ちょっ……!」
ごそごそと、冬歌はおもむろに瑛梨奈のポケットをまさぐった。
そして瑛梨奈のポケットの中から、あるものを引きずり出す。
それには、見覚えがあった。
「それ、私があげた……マスコット?」
友達の証として、澪が瑛梨奈にプレゼントしたものだった。
「…………っ」
「もう、嘘はやめなさい」
「……っ……だって」
瑛梨奈は澪をキッと鋭い瞳で睨み付け、言った。