「稚尋はね、女子の敵だよ!……昔あたしに稚尋がしたことはね?」 「…………?」 瑛梨奈は、静かに言った。 「本当のえり自身を奪った」 その瞳は、まっすぐに前だけを見つめていた。 「……え?」 よく意味がわからなかった。 稚尋が本当の瑛梨奈を奪った、とはどういう意味だろうか。 今までの瑛梨奈は本当の瑛梨奈ではないのか。 本当の瑛梨奈って……何? 「えりは……」 瑛梨奈は淡々と昔の事を語り出した。