“大嫌い”


泣き顔で言った雛子の言葉が、顔が、稚尋の頭から離れない。


その一ヶ月後、離婚した冬歌が家に帰ってきた。



冬歌は帰ってくるなり、稚尋の異変にすぐに気付いた。


だからこそ、雛子のことも全部、稚尋は冬歌に言った。






冬歌は稚尋を抱きしめ、言った。



『辛かったら、辛いって言いなよ』



冬歌に抱きしめられたのは初めてなのに、すごく落ち着く自分がいた。



それから稚尋は、事ある毎に学校の女子を抱くようになった。



初めて抱いた女の子は、稚尋が傷つけてしまった。



しかし、稚尋は過ちを繰り返し続けた。


感情が、麻痺していた。



雛子を忘れられない。


十五歳になった今でも、稚尋は二年前の出来事を忘れられない。



そんなある日だった。




稚尋は、澪と出会った。