父親に引き取られ、初めて出来た姉。
それが冬歌だった。
稚尋は笑顔で会釈を返したつもりだったが、内心、少し疑っていた。
この人も、少し経ったら母親と同じように自分を嫌うのではないだろうか?と。
しかし冬歌は稚尋に毎日付き纏い、笑顔を見せた。
いつの間にか、雛子とも仲良くなっていた。
悪い人じゃ、ないのかも。
七歳になった稚尋に、初めての強い味方が出来た気がした。
『大丈夫、あたしは稚尋の味方だから』
冬歌は事ある毎に、稚尋にそう言った。
俺を……守ろうとしてるのか?
そう感じたからこそ、冬歌がお嫁に行く時は、死ぬ程泣いた。
今まで味方だと思っていた人に、捨てられるような気がして。
そんな稚尋に、冬歌はまた言った。
『あたしはずっと稚尋の味方だから』
しかし、家の中で稚尋を守ってくれる人がいなくなったのは事実だった。